意外と奥が深い「レンチ」の基本

ボルトやナットを締めたり緩めたりするための工具、「レンチ」ですが、これもまた思ったより奥が深い……。

ご無沙汰しております、新人スタッフのヤマモトです!

まだまだDIYも詳しくないし、工具に関しても初心者ですが、会社で勉強をしながら記事を書いていきます。前回は「安全靴」について調べましたが、今回のテーマは「レンチ」です。 

 

たしかにメーカーごとの違いや特徴は覚えないといけないけれど、時間をかけてゆっくり覚えていけばいいや。入社当初はそう思っていました。いま考えるとおぞましい。

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穴の開いたレンチも、棒の両端に何やらついているものも、ギミック?がついているゴテゴテしたものも、全部ぜんぶレンチだと言うのです。

「え、先輩、これもレンチなんですか?」

という涙の混じった僕の叫びに近い質問に対する「そうやけど」という逞しい返事をきいたときの絶望感は忘れられません。

あ、そうそう、レンチに似た工具で「スパナ」というのもありました。レンチの種類の中に、スパナ、めがね、コンビネーション、モンキーなど細かく分類があるということです。


ちょっと混乱して眩暈がしてきました。ゆっくりひとつづつ整理していきましょう。

レンチ・スパナの全体像を確認して、工具選びの参考にしてください!

この連載は、工具初心者の新人スタッフヤマモトが、工具の魅力を自分でも勉強しながら伝えていきます!

今日は「レンチ」についてのお話。

レンチって?ボルトやナットを回す工具です!

 

KTC スパナレンチセット 10本組 TS210

レンチ(wrench)は、ボルトやナットを回すための工具。締めたり外したりするためのものです。

 映画『少林サッカー』の敵チームが鉄の凶器で殴ってくる場面を覚えていませんか。あれです。あれがレンチです。なるほど、もともとはサッカーのためではなく自転車やクルマの整備に使用する道具だったんですね。

用途に応じて「モンキーレンチ」「めがねレンチ」などのさまざまな種類があります。ボルトなどの大きさに応じてサイズも豊富です。

「六角レンチ」は「レンチ」と耳にして多くの人が想像するものと異なる形状をしているかもしれません。けれども「六角レンチ」だって締め付け工具のひとつなので「レンチ」の仲間と言えます。すべて総称して「レンチ」と呼びます。

 それぞれの違いや用途については後ほど詳しく紹介します!

そんな種類も豊富で素人からすると混乱しがちな「レンチ」ですが、お気に入りを1本~2本持っておきながらも、用途にあわせたレンチを複数買い揃えていくのが一般的みたいです。先輩に自前の工具を見せてとお願いすると、みんな決まって自慢げに紹介してくれるのがちょっと可愛い。なかには「これは親父からもらったんだけど……」なあんて代物もあったりして驚きです。

レンチとスパナの違い 

レンチに似た工具でスパナというのがあります。

厳密にいえばどちらも一緒。アメリカ英語ではレンチと呼ぶのが一般的ですが、イギリス英語ではスパナという名称を使うことが多いです。

日本では、メガネレンチのような先端が丸く閉じているものをレンチと呼び、先端の口が開いているものをスパナと呼ぶのが一般的です。例外はありますが、とりあえずはこうやって考えればOK。

「本締めはスパナじゃなくてレンチじゃないと!」

みたいな台詞がガレージや工場の現場ではよくあるそうです。これは「本締めのときは金具が痛まないように先の閉じているスパナで締めて!」という意味です。

それはそうと、メガネレンチンって不思議な工具ですね。これについても後ろの項で詳しく解説しますね!

 

さまざまなレンチ

レンチにはいくつもの種類があります。代表的なものをいくつか簡単にご紹介していきましょう。

 

めがねレンチ

一般的に「スパナ」と呼ぶのはこのタイプ。

めがねみたいだから「めがねレンチ」というそのままのネーミングが愛らしいですね。ボルトやナットに全方向から絡みついてしっかりと回すことができます。ただし、穴が完全に閉じてしまっているので、ボルトなどの大きさに合わせて本数を揃えないといけないのが難点です。

オフセットレンチ、ボックスエンドレンチ、ボックススパナとも呼ばれています!

コンビネーションレンチ

レンチ(めがねレンチ)とスパナが両端に付いているタイプです。

先ほども例で「本締めはレンチじゃなくてスパナで」というような意見も紹介しました。なめてボルトを痛めてしまわないように、そうやって気を使う人も多いです。

しかし、このコンビネーションレンチであれば、1本でスパナとレンチの両方が付いているので、1本ですべて完結することができます。ひょいっとくるりと工具を掌の上で回して使い分けできるのが便利!

 

(そして何より「っぽい!!!」というのは素人の意見でしょうか……)

 

六角レンチ

組み立て家具なんかを買うと、オマケで同封されたりしますよね。これなら初心者の僕も知っています!

ひとつの商品に複数の大きさのレンチがセットになっていることもありますよ。接地する面積がプラスビスよりも広く、力が均等に分散するのでビスの金具が痛みにくいのも特徴。六角棒スパナ、とも呼びます。

 ほかにも、ボルトヘッドの大きさに合わせて先端を付け替えることのできる「ソケットレンチ」や、ボトルヘッドを完全に包み込むボックスレンチなどがあります。基本的な工具に慣れながら作業を進めていると、知らず知らずのうちにおのずとマニアックな知識が付いているはずです! ですので、無理して全部覚えようとしなくても大丈夫です。暗記するよりも手を動かしてガシガシ作業していきましょう!

定番のヒーロー!モンキーレンチ

冒頭では「工具の先端がひらいているのがレンチ、そうでないのをスパナと呼ぶ」と案内しましたが例外をご紹介しましょう。それが定番の工具である「モンキーレンチ」です。

 

ボルトやナットの口径に合わせてレンチを揃えていくと、数がかさんでどれがどれだか混乱してしまうし、その分持ち運ぶにも重くなってしまいますよね。

 

そんな時に活躍するのがこの「モンキーレンチ」です。

 

ウォームと呼ばれる場所をジャリジャリと回転させると、レンチの口径の長さを変えることができます。この特徴からアジャスタブル(=調整可能)レンチとも呼ばれています。

 

モンキーレンチの使い方 

使い方は簡単で、使いたいボルトにサイズを合わせて、あとは締めたり緩めたり。気を付けておきたいのは力を加える向き。下あごではなく上あごの方向に回してしまうとウォームの部分に力がかかってしまい、レンチを傷めてしまうかもしれません。

最近ではリバーシブルに、上あご方向にも下あご方向にも回せる工具が出ています。バーコ製のモンキーレンチは大抵向きを気にする必要がありません。ほかにも、「なるべく小さな力で回せる」「狭い場所でも回すことのできる」というよな工夫が施されたレンチが沢山あります。自分にあったものを探していきましょう。

 

レンチ・スパナの選び方は? 意外と奥が深~い各社のこだわり 

そんなレンチ・スパナの選び方ですが、見るべきポイントは「mm数などのサイズ」です。ここが合わないと、まったく使えないので、自分の用途に合ったサイズのものをえらびましょう。

 

まずは数本のスパナと、1本のモンキーレンチが手元にあれば大抵の作業ができるはず。

 

「モンキーレンチはあくまでも非常用の工具で、手元にぴったりのサイズのスパナが無い時の代替品」という声もありますが、最初のうちはあまり気にしなくても大丈夫です。まずは便利なものの力を借りて、少しづつ慣れていきましょう。

 

え、これもレンチ? ラチェットレンチとは?

 

さて、ここで新しいお仲間を紹介します。「ラチェットレンチ」です。

 

また長いカタカナの工具が……と頭を抱えてしまいそうになりますが、ちょっとだけ我慢してください! 絶対に後悔させません。これほどまでに便利な道具はありませんから!スピーディーに気持ちよく作業をさせてくれるレンチです。

 

 

見た目はこけまで紹介したレンチとは違ってなんだか仰々しいかもしれません。うんうん、たしかに難しそう。

 

ラチェットレンチは、ラチェット機構が搭載されたレンチのことです。すみません、これじゃあ何の説明にもなっていませんね、失礼しました。

 

ラチェットレンチとは、一方向にしか回らない仕組みのレンチのことです。

 

ペットボトルを空けるときの手の動きと似ているかもしれません。手で蓋を緩めて、手首が回らなくなったら今度はもう一度緩めるために逆方向に手首を回しますが、その時にペットボトルは締めないで手首だけを沿わせますよね。ちょうどそんなイメージです。

 

サササっとボルトなどの開け閉めができる工具です。



ちょっとした時間の差が大切!

 

ボルトの締め・緩め作業は、ひとつひとつは大したこと無いかもしれませんが、塵も積もればなんとやら……。とにかくたくさんの数をこなすことになります。だから自分の肌にあったものと言いますか、自分の手に馴染むかどうかが重要です。

 

たとえばコンビネーションレンチが愛されるのもこうした理由からです。「1本で両方あるから便利!」というよりかは「いちいち工具を持ち帰る手間が省けて便利!」というのが一番のポイントなんです。さきほど紹介したラチェットレンチもこのように「手間が省けて便利!」というタイプの工具の一種ですね。

 

細い工具でも回しやすくできる別注のグリップ、先端が可動するので狭い場所でも簡単かつスピーディーに作業ができる、など、さまざまなアイテムがあります。このような便利グッズを見るのも楽しいです!

 

使用の際にはボルトやナットの金具をなめて痛めてしまわないように注意する必要があります。――と、こんな風に色々な本やネット、説明書なんかにも書いてありますよね。無茶な使い方をすると壊れてしまうかも……という不安があるかもしれませんが、よっぽどのことが無い限り大丈夫です。特に初心者が手を出す作業ではきっと問題が無いでしょう。ガシガシ使って、どんどん腕を磨いていきましょう。

まとめ 

  • レンチはボルトやナットを締めたり緩めたりするための工具
  • サイズを調整できるモンキーレンチが便利!
  • スピーディーに作業するにはラチェットレンチは外せない!

 

一息で箇条書きにしてまとめてしまえばこんな具合でしょうか。

 

「レンチ」「スパナ」という工具、料理の世界で言ってみれば「包丁」くらい幅広い道具みたいです。「包丁」とひとえに言っても沢山の種類があるし、人によって良し悪しは変わってくる。

 

でもプロでもアマでも絶対に必要な道具……

 

と、このように非常に奥が深い工具なのでした。基本の工具だからこそ、様々な選択肢があるのですね。

 

僕はまず、自分用に手ごろなモンキーレンチを探してみたいと思います!以上、新人スタッフのヤマモトでした!

 

ん、何ですか?ロングソケットラチェットレンチについて解説して欲しい……?

 

そんなのもあるんですか……?!(汗)

また次回以降までに勉強してきます!!!!

 

この連載は、工具初心者の新人スタッフヤマモトが、工具の魅力を自分でも勉強しながら伝えていきます!今日は初心者のために解説する「レンチ」についてのお話でした。

 

「モンキーレンチだとすぐに金具が痛んでしまう」という意見もありますが、いきなり使って壊れてしまうようなことはまずないので、「まずは使う!」という心意気が大切です。

 

「何に使うわけでもないけれど、小さくて可愛いから」という理由で手のひらサイズのレンチを車の鍵と一緒にキーホルダーにして買っている先輩もいました。(ここまでくると工具沼にどっぷり……という気もしないではないですが……(笑)ともあれ、沢山の選択肢があって、自分に必要なものを探すのは楽しい、ということですね)

#意外と奥が深いシリーズコラムレンチ