工具徒然 vol.03『変身願望』

ジム・キャリー主演のコメディ映画「マスク(THE MASK )」をご存知でしょうか。引っ込み思案な銀行員スタンリー・イプキス(ジム・キャリー)が謎の仮面の力を借りてヒーローへと大変身。カートゥーンさながらのコミカルな身振り、いなせに着こなすド派手なスーツ、どうにも止まらないハジけっぷり。笑いとドタバタそして恋が止まらない抱腹絶倒怒涛の展開に、世界中が大いに泣き笑いしたものです。そんな、話題作の裏テーマは「はたしてヒトは仮面を被らなければ、自分自身が望む通りに振る舞えないのか」という意外と骨太なものでした。

マスク

そもそも、人類と仮面は原始時代からの関係が深く、旧石器時代のラスコーの洞窟壁画をはじめ、地球上の至る地域に仮面にまつわる痕跡が残されています。仮面とは、ヒトが本来持ち得ない超常の力を求める際に被る「成り代わり願望」や「変身願望」の現れかも知れず、あるいは希望や願いを託す「依代」なのかも知れません。仮面をつけた姿こそが本来の自分であってほしい、といったところでしょうか。

そういえば、マーケティング用語のひとつに「ペルソナ」というコトバがあります。提供するサービスや商品のターゲットとなるユーザー像を、あたかも実在する人物かのように、年齢・性別・居住地・職業・年収・趣味・家族構成・ライフスタイルなど、リアルかつ具体的な情報を設定します。そうすることで、商品を必要とするユーザーへ確実に届くようにしたり、企画・開発精度を高めたりするわけです。まとめると、潜在的な顧客を探り購買行動に結びつけるための手法ですが、元々は有名な心理学者C・G・ユングが提唱した用語。言ってしまえば「外ヅラと内ヅラ」であり「上っ面と内面」ですね。

『株式会社平凡社世界大百科事典 第2版』が言及するペルソナの欄に[仮面の出現]という項があります。

現代人はさまざまな日常生活の状況に応じて〈仮面=人格〉を使い分けるという比喩的な意味で〈仮面〉ということばがよく用いられる。この〈人格〉の語源ペルソナも,エトルリア地方の死者にかぶせるマスクの呼名に由来するといわれる。しかし、具体的なものとして、儀礼や祭りに用いられる仮面の特徴は、日常生活とは異質な状況の中に〈出現〉してくる点にある。パプア・ニューギニアの諸族の〈精霊〉〈守護霊〉を表す仮面にせよ,アフリカ,リベリアのポロ結社やマリのドゴン族のアワ結社に代表される〈秘密結社〉の組織の核としての仮面にせよ,アマゾン地方のインディオの森にすむ獣の仮面にせよ,仮面は日常世界からは不可視の世界,他界あるいは霊界,人間の領域とは次元を異にする自然界,死者の世界からこの世界へと出現し,突出し,両者を媒介する中で,不可視のものを眼に見える姿で現出するという意味を担っている。」とあります。

引用元:コトバンク 出典:株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について

状況に応じた使い分け、次元を異にする世界から出現する、突出する、媒介する、現出する、という表現。なにやらおとぎ話を聞いているような感覚、かのダークファンタジーの金字塔にして未完の大作である「ベルセルク」にも通じるニュアンスを感じます。

そこで、ご登場願うは「一家に一台、溶接機!」の合言葉でお馴染みのスター電器製造株式会社発、「SUZUKID EB-200A2B 液晶式自動遮光面アイボーグアルファII (ブルーフィルタ) 」です。

禍々しい鉄仮面ぶりに、もうシビれます。「私がアイアンマンだ」とか、ライトセーバーを手に「コーホー」と息を吐いたり、「鉄仮面に顔を奪われ、十(とお)と七とせ、生まれの証しさえ立たんこの私(あてぇ)が何の因果か警察(マッポ)の手先。おまんら、許さんぜよ!」と叫びたくなります。なにより、歴代戦隊ヒーローや連邦軍系量産機を彷彿とさせるゴーグル状の液晶に、思わず身悶え。眩しさを軽減し、鮮明な視界を保つ液晶”ブルーフィルタ”は接地面や溶融池の境目が見やすく、高出力溶接でもその能力を発揮してくれる機能性とコストパフォーマンスが備わりつつ、アイボーグという名称しかり、溶接機で火花を飛び散らせた日にゃもはや変身ヒーローですやん!

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