意外と奥が深い 「木材」の基本

ちょっとした棚を作ったり、木工DIYをするのに欠かせない材料と言えばもちろん「木材」ですが、これもまた思ったより奥が深い……?!

ご無沙汰しております、新人スタッフのヤマモトです。

まだまだDIYも詳しくないし、工具に関しても初心者ですが、会社で勉強をしながら記事を書いていきます。前回は「電動ドライバー」について調べましたが、今回のテーマは「木材」です。

愛媛県伊予市の共栄木材さんに取材協力をいただきながらご案内します!


木材は軽くて丈夫、それに加工もしやすい素材です。

金属に比べれば軽いですし、接着も簡単で、間違っても溶接機が必要となるなんてことはありませんから。

自宅でDIYをするならうってつけの素材とも言えます。ただ「木材は種類が滅茶苦茶たくさんあってどれがいいかわからない」なんて思いを抱えていませんか?

ぼくもその一人でした。DIYを始めようと思っても素材選びでつまづいてしまうと、一向に前に進めません。

ということで、木材をどう選べばいいのか皆さんと一緒にここで考えていこうと思います。

この連載は、工具初心者の新人スタッフヤマモトが、工具の魅力を自分でも勉強しながら伝えていきます!

今日は「木材」についてのお話。

広葉樹と針葉樹の違い

まずは木材の種類を知る前に、木ごとの違いをざっくりと知っておきましょう。木の特徴によって材質も変わり、適した用途が変わってきます。 

大きく分けると、木は広葉樹と針葉樹の2種類に分けられます。

小学校の理科の授業で習ったかもしれませんが、僕はもうすっかり忘れてしまっていたので、一緒に復習していきましょう。

広葉樹

名前の通りで、葉っぱが広く、丸みを帯びている木が広葉樹です。身近でわかりやすいのだとサクラやケヤキなどが代表的。

広葉樹の中でも2種類に分かれていて、常緑樹と言って葉っぱが一年中ついている木もあれば、落葉樹と言って葉っぱが秋になると落ちてしまう木もあります。

背の高い木というよりかはどちらかというと、枝分かれをして横に広がりやすい木が多いです。温かい地域で育ち、成長スピードは針葉樹に比べると遅いです。ただその分硬くて、重くなります。

木材としては、丈夫であるという特徴がありますが、その分加工がしづらいという欠点も。木目が複雑な変化があって、カラフルなものが多いです。ですので、床や長年使う家具などによく使われています。

広葉樹の特徴まとめ

  • 成長スピードが遅いが、だからこそ硬くて丈夫!
  • 木目の美しさが魅力!
  • 床や家具などで人気!

針葉樹

葉っぱが針のように尖っている木が針葉樹です。マツやヒノキなどが代表的です。一年中葉っぱがついている「常緑樹」がほどんどで、まっすぐと天まで伸びた背の高い木が多いです。

成長スピードが早いため、柔らかく軽い木になりやすいのが特徴です。

ですので、木材としては「柔らかく、軽く、加工しやすい」というのが最大の強みです。木目はまっすぐなものが多く、色は明るいもの中心でシンプルです。木自体がまっすぐであるため、家の柱によく使われます。木目が揃ったフローリングにしたい場合も、針葉樹を使うことが多いです。

実は日本の天然林のほとんどは広葉樹なのだそう。反対に人工林はほとんどが針葉樹。先ほどもお伝えした通り、針葉樹は成長スピードも早いし、まっすぐで使いやすく、さらに加工もしやすい。建築用の木材としてもってこいなんです。

そういうわけで針葉樹が人工的にバンバン植えられていた……という背景があります。ぼくは花粉症がひどいので、これ以上は勘弁してほしいですが……(苦笑)

DIYで使う木材も、針葉樹のものが比較的多いはずです。加工しやすいですし、人工林なので価格もお手頃。初心者のうちはまずは針葉樹の木材から考えると良いでしょう。

針葉樹の特徴まとめ

  • 柔らかくて軽いので加工しやすい!
  • 成長スピードが早いので木材も安価!
  • DIY 初心者にはピッタリ!

木ごとによっても特徴は変わってくる

広葉樹と針葉樹の違いをお伝えしましたが、木ごとによっても特徴は変わってきます。全ての木の違いをお伝えするのは難しいですが、代表的なものを一部紹介していきたいと思います。

広葉樹

(硬く、加工しにくい)

針葉樹

(柔らかく、加工しやすい) 

ナラ(オーク) スギ
クルミ(ウォールナット) マツ(パイン)
タモ ヒノキ

簡単に表にするとこんな具合です。

もちろん世の中にはもっともっと沢山の種類の木材が存在しますが、代表的なものをいくつかピックアップしてご紹介します!

ナラ(オーク)

いわゆる、どんぐりの木です。広葉樹で、高級木材として知られています。英語でオークと呼ばれますが、木材としてよく知られるホワイトオークやレッドオークとは厳密に言うと違います。ただ特徴としては両方ともほとんど一緒で、価格としてはホワイトオークの方が安くなります。

硬くて重いですが、その分丈夫で傷つきにくく、床や椅子など、長期間扱うモノに向いている木材です。

クルミ(ウォールナット)

日本で見られるクルミの木の大半は、「オニグルミ」という種類です。家具でよく使われるクルミの木は「ウォールナット」というアメリカ東部から中部にかけて自生している広葉樹です。寒い気候の地域で、じっくりと育つので、硬く丈夫な材質を持つ一方、軽く加工しやすい特徴もあります。

「家具材のロールスロイス」とも呼ばれるほど人気も高く、高級な木材で、椅子や机、棚、化粧台など幅広く利用されている木材です。

タモ

曲げても折れない「たわむ木」という由来から、タモという名がついたと言われている広葉樹。硬さとしなやかさを兼ね備えた木材です。広葉樹の中でもかなり大きく、高く成長する木のため、均質に素材を作ることができます。板状に大きく材木をとることもでき、テーブルの天板などに使われます。

「白木の女王」「女神」などと讃えられるぐらい綺麗な木目なので人気のある木材です。

スギ

日本人にとっては馴染みのある針葉樹。スギの語源は諸説ありますが、「すくすく生える」「まっすぐに伸びる」など成長の早さ、まっすぐに伸びる生え方に由来してその名がついたそうです。名前の由来にもなっているほど、「すぐ生え、まっすぐ伸びる」のが特徴。軽く、加工しやすい木材です。

古くから桶や樽の材料に用いられていました。現在では柔らかく軽いという特性から、ダイニングテーブルや椅子など持ち運んで移動させる家具に多用されます。

マツ(パイン)

こちらもスギと同じくらいメジャーな針葉樹です。国産の赤松や黒松は高級木材ですが、外国産のパインは加工しやすく安価なため、DIYでも人気の木材です。白っぽい色合いが特徴でナチュラルな雰囲気にピッタリです。

特徴的なのは、樹脂が多く含まれていて経年変化を起こしていくこと。長く使っていくにつれて、色味が徐々に濃く、深くなっていきます。革製品をずっと長く使い経年変化を楽しむのと同じように、マツの家具を育てる愛好家の人も少なくありません。

ヒノキ

ひのき風呂で有名な木材。針葉樹で、木目が直線的で均質なのが特徴です。匂いもよく防腐性、防水性が高いため、お風呂だけでなく水回りの家具を作るときによく使われています。

加工もしやすく安価なため、幅広い用途で使うことができる万能型。

たとえば世界文化遺産に登録されている奈良の法隆寺はヒノキを使った木造建築で、約1,300年も前に建てられています。それだけ腐りにくく、丈夫な木材なので、DIYでも活躍してくれること間違いなし!

木材の成形方法は3種類!無垢材と集成材と合板の違い

樹木の種類だけではなく、「木材」として形作られるまでの方法によってもその特徴は変わります。

ここでは代表的な成形方法を紹介していきます。

無垢材

切り出したままの天然の木材のみを利用したものを無垢材と言います。一本の木から切り出した木材です。他のものを接着剤でくっつけたり貼ったりしていないため、体に優しい木材とも言われています。

※イメージ:切り出された木材

木目も樹木の特徴が出やすくキレイなものが多いです。匂いが出やすい素材でもあり、無垢材で作られた家具があるだけで、癒されると感想を持つ人も多いです。

「調湿効果」とは?

少し専門的な話になりますが無垢材には「調湿効果」も。周りに水分が少ない時は水分を放出し、周りに水分が多い時は水分を吸収してる作用です。一見すると有用ですが、調湿効果を繰り返すことで木材自体が膨張したり縮小してしまい、長期間使用していると寸法が変わってしうまうというデメリットも。

無垢材は人の手が加わっていないため、どうしても反りやねじれが生じてしまいますし、サイズも限られてきます。価格も高い傾向にあるため、どちらかというとDIY上級者向きかもしれません。

集成材

複数の木材を接着剤で接合して人工的に作られた木材を「集成材」と呼びます。

実は強くて安定している?

「寄せ集めなら、天然物よりも品質が落ちる」と思われる人もいるかもしれませんが、それは多いな誤解です。

複数の木材の良い部分だけを集めて集成材は作られているため、耐久性もあり、ねじれや反りがなく、品質は安定しています。また様々なサイズのものが用意されているので、用途に合わせて使うことができます。

集成材は価格も比較的安いためDIYに向いています。

ただし接触剤が含まれるので、長期間屋外で雨風にさらされると、まれに接着層が溶けてバラバラになってしまうこともあるようです。基本的には屋内で利用するものをDIYするのに利用しましょう。

合板

原木を薄く剥ぎ取ってミルフィーユ状の板にしたものを「ベニヤ」といい、それを何枚も重ねて、接着剤で貼りあわせたのを合板と言います。

「ベニヤ板」という名前を聞いたことがある人が多いかもしれませんが、それを何枚か重ねたものが合板なんだと思っていただければOKです。

「コンパネ」って?

DIYをやっていると「コンパネ」という名前もよく耳にしますが、これも合板の一種です。コンクリートパネルの略称で、コンクリートを流し込むときの枠用の合板のこと。防水性が高く、屋外の使用に向いています。

合板は大きさや厚さ、形状は千差万別ですが、どれも安価なのが嬉しいですね。

合板の選び方

合板を選ぶときには、「防水性」と「接着剤に含まれる化学物質」を意識しましょう。
防水性は、特類、1類、2類、3類に分かれています。数字が小さいものほど防水性能に優れていて、特類が最も防水性が高いです。屋外なら1類以上、屋内なら2類以上を選ぶのがおすすめで、とにかくコストを抑えたい場合なら3類でもいいでしょう。
接着剤には「ホルムアルデヒド」などのアレルギー発症原因になる化学物質が含まれています。合板にはどれだけの化学物質が接着剤に含まれているかを「F☆」の星の数で表示しています。
星の数が多いほど、放出量は少なくなるので、屋内で使うなら星4つ以上のものを使うようにしましょう。

DIYで使う木材を選ぶポイント

DIYで使う木材を選ぶポイントを紹介していきます。


まずは木材を使って、何を作りたいかが大事です。当たり前ですが、何を作るかが決まっていないと材料も選べませんからね。棚なのか、椅子なのか、机なのか。具体的にどんな大きさで、どんな場所で、どんなイメージのものを作るのかを考えておきましょう。簡単なものでいいので、設計図なんかがあると良さそうです。

何を作るか決めたらそれに合わせて木材を選んでいくわけですが、形状やサイズを意識して選ぶようにしましょう。木材と言っても形やサイズは様々です。家具を作るときは少しの誤差で隙間ができてしまったり、ゆがんでしまったりする原因になります。大きめのものを買って自分でカットすることもできますが、DIY初心者にとっては大変かもしれません。はじめからできる限り作りたいものにぴったりと合う形状、サイズのものを選ぶと後々の作業が楽ですよ。

人気のサイズは「ツーバイフォー」

DIY初心者に人気のあるサイズは、2×4(ツーバイフォー)の木材。

木口の厚みが2フィート、幅が4フィートあるのでこの名前がついていますが、木材は乾燥させることで縮小するため、実際には厚み1.5フィート(38cm)、幅3.5フィート(89cm)に規格化されています。

長さは別で書かれている場合が多いです。1×◯材、2×◯材、3×◯材という規格で売られています。これさえ覚えておけば選び方の幅はぐんと拡がります!

最後に樹木の種類や成形方法で木材を選んでください。木目や色合いなどのデザイン面を気にする人が多いかもしれませんが、耐久性や防腐性なども必ず確認するようにしてください。

特に屋外用の家具を作る場合は耐久性が最重要。

屋外でも長期間使えるモノを作るためには、防水性や防腐性の高い木材を選ぶ必要があります!

DIYにおすすめの木材を紹介!

自宅のDIYで初心者に特におすすめの木材(=材質と加工の組み合わせ)を3つ紹介していきます。

SPF材

「SPF材」とは北米産の針葉樹から切り出された木材の一種です。

  • スプルース(トウヒ)
  • パイン(マツ)
  • ファー(モミ)

の三つの頭文字をとってSPFです。SPF材は加工しやすいですし、価格も安いのが特徴。ただし針葉樹の性質上、耐久性はそれほど強くありません。

ですので、ウッドデッキやベンチなどのように、屋外で長期間使用するものを作る場合はあまり向いていません。

しかしその価格と使い勝手からDIYで非常に人気の木材。迷ったらいったんSPF材!と言っても過言ではないかもしれません。

パイン集成材

パイン集成材は、マツ(=パイン)の木の間伐をした際に出た部分を組み合わせて作られています。柔らかくて、軽く、加工しやすいので、集成材の中でもメジャーな木材です。

大きさにもよりますが、2,000円〜3,000円ぐらいと手ごろな価格で手に入りますし、DIY初心者にはピッタリです。

白っぽい色味ですが、使っていくごとに経年変化を楽しむこともできますよ。

シナ合板

シナという広葉樹を使った合板です。柔らかくて、軽く、加工しやすくしかも価格も安くて扱いやすい。白っぽい色味で、なめらかな手触りの木材なので、様々な家具の材料として使えます。まさにDIY初心者向けの合板と言えるでしょう。

 

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まとめ

  • 木材は軽くて、丈夫で、加工しやすい。DIY向けの素材
  • 木の種類、成形方法によって木材の特徴は大きく異なる
  • 形、大きさ、木の種類を考慮しつつ、用途に合わせて木材を選ぶ

 

今日の話を箇条書きでまとめるとこんな感じ。

木材はとにかく種類が多いので、自分で色々と見てみるのがおすすめ。ぼくも自分のお気に入りの木材を探してみようと思います。

 

以上、新人スタッフのヤマモトでした!

 

取材協力:株式会社 共栄木材

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