
コンパクトでハイパワーな機種が揃う信濃機販のエアーツールは、プロが愛用する工具です。その性能は年々進化を続け、最近の製品ではユーザーニーズに合わせた小型軽量化が実現しています。
そんなエアーツールの開発に取り組むメーカーの中でも、信濃機販(SHINANO)は国内メーカーの先駆けとして有名な企業です。
これまで250近い製品を開発し続けてきた信濃機販ですが、今年5月には重量わずか0.97kgのエアーインパクトレンチ「SI-1600L ULTRA」をリリース。限界まで軽量化したにも関わらず、一切損なわれていない使い勝手の良さが、話題となりました。
そして、近年ではエアーツールの開発で培ったノウハウを活かし、電動工具の開発にも力を入れられています。
今回はそんな信濃機販のご担当者から、エアーツールの最前線事情を中心に、電動工具も含めた開発のこだわりや今後の展望について大阪営業所所長の松田英里様に詳しく伺いました。
エアーツールメーカー信濃機販の歴史:日本のエアーツール黎明期から今日まで
エアーツールメーカー信濃機販の歴史:
日本のエアーツール黎明期から今日まで
―― エアーツールを取り扱うに至った経緯をお話しいただけるでしょうか
弊社のエアーツールの歴史は、さかのぼること1949年から始まります。1949年10月有限会社信濃製作所を設立し、当時は主に測定器及び治工具の製造を手掛けるメーカーでした。
ノギスやメジャー、巻き尺のほか、アメリカの釣具メーカーからの依頼でリールに使用するギアなども製造しており、ギアの技術には定評がありました。
転機が訪れたのは、1960年のこと。ちょうど当時、最先端のツールとしてアメリカでエアーツールが爆発的な売れ行きを見せていた時期です。
弊社と取引があったアメリカの釣具メーカーが、エアーツール事業部を新たに立ち上げることになり、私どもにも関連業務が舞い込みました。これまで培ってきたギアの技術を活かし、エアーツールの心臓部であるモーターのギア部品を作ってほしいと言われたのです。
このようにして、サプライヤーとしてエアーツール製造にかかわる機会を得た弊社は、国内メーカーの中でもいち早く、エアーツールに対する理解を深めていきました。
さらに2年後の1962年には、ギアのみならず、エアーツールの完成品を全て、メイドインジャパンで製造する機会をいただきました。そうして生まれたのが、信濃製作所初のエアーツールであるドリルとストレートグラインダーです。
1969年には、SI(システムインテグレーション)製品としてエアーツールのオリジナルブランドを立ち上げ、そこから機種を増やしながら、アメリカやオーストラリア、東南アジア各国へと輸出していきました。
当初は輸出だけでしたが、そこから国内販路にも力を入れるべく1979年に立ち上げた国内販売会社が、現在の信濃機販です。
信濃機販が目指す製品づくりと開発のこだわり
信濃機販が目指す製品づくりと開発のこだわり
―― 製品開発のこだわりについて、特に意識されている点を教えて頂けますか
弊社はこれまで、お客様の満足度を高められるよう、独創的な製品を出し続けるべく開発に力を注いできました。
実は1973年に、エアーラチェットレンチの世界標準を作り出したのも弊社です。その当時のエアーラチェットレンチは、モーター回転を利用した機構でしたが、トルクパワーに課題を抱えていました。
そこにギアのノウハウを取り入れ、トルクパワーが出せる構造を世界で初めて作り出したのが信濃機販なのです。
長年培ったギアの技術と成形から製造までの一貫体制が弊社の強みです。ユーザーニーズをいち早く製品として世に出せるように努力してきたからこそ、お客様から高く評価頂いているのだと思います。
開発では、特にギアの加工技術とその精度の高さにこだわっています。エアーツールは精密機械のため、コンマ何ミリレベルの精度が要求されます。
良いものを作ればその分、価格が高くなりがちですが、ユーザーの皆様にとって手の届きやすい価格を維持しつつ、よりよい製品をお届けできるように日々企業努力を続けています。
弊社がエアーツールだけではなく、電動工具の製造開発に取り組んだのもそういった企業努力の一貫といえます。
―― 電動工具についても具体的にお話しいただけるでしょうか
他社に先駆けて、芝浦電産(当時は東芝の子会社)とタイアップで有線タイプの電動ポリッシャーを開発し、電動ツールを自動車補修業界に投入したのも弊社です。
電動ポリッシャーは、有線だと取り回しが難しく、一方でコードレスにすると重たくて扱いづらいという問題がありましたが、その課題も当社で解決しました。
弊社が培ってきたエアーツールのミニポリッシャーの技術を使い、コードレスのミニポリッシャー「SI-410E」の開発にも成功したのです。

ご好評につき、完売いたしました。
高性能なリチウム電池の普及により、特に取り回しが便利なコードレスタイプの電動工具は年々需要が高まっています。
弊社の主軸はエアーツールですが、そのノウハウを活かしながら、電動工具のメーカー各社と協力しながら、電動工具のラインナップも今後増やしていきたいと考えています。
信濃機販のイチオシ製品
信濃機販のイチオシ製品
―― 信濃機販のエアーツールといえば様々な種類がありますが、今イチオシの製品をご紹介いただけるでしょうか
エアーツールについてはやはり、今年5月にマイナーチェンジを果たしたインパクトレンチ、「SI-1600L ULTRA」と「SI-1600C ULTRA」でしょうか。
「SI-1600L ULTRA」はクラス最軽量を実現したエアーインパクトレンチです。
昔はアルミボディで重たかったインパクトレンチですが、SHINANOでは2001年に強化樹脂ボディを採用し、さらなる小型軽量化に取り組んできました。
2008年に発売した先代機種の「SI-1600B ULTRA」の時点でも、1.04kgまで重量を削減し、ユーザーから「軽くて使いやすい」と高く評価していただきました。今年のモデルチェンジまでの間に、全世界で8万台売れたことからも、その人気ぶりがわかっていただけるのではないでしょうか。
そして、先代機種の1.04kgでも「これ以上の軽量化は厳しい」と思われる数字でしたが、14年間かけて、ついに「SI-1600L ULTRA 」で1kgを切ることに成功したわけです。
ユーザーの使いやすさを考えてサイズはほとんど変えず、削れるところをとことん削って、設計を最適化しています。
また、ツインハンマー式ではなく、ジャンボシングルハンマー式を採用し、ハンマー1個分の重さを削減しました。ダブルハンマー式よりも1回のあたりが強めですが、トルクパワーを落とさず、使いやすさと軽量化の絶妙なバランスをキープしました。
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もう一つのおすすめである「SI-1600C ULTRA」も同じく「SI-1600B ULTRA」の後継モデルにあたります。
モーターのブレードを6枚から8枚に変更し、エアーの排気と吸気をよりスムーズにすることで、回転数を上げました。
その結果、「SI-1600B ULTRA」と比べると、低速域での立ち上がりのトルクが15~20%ほど改善されています。
また、今回ご紹介した2製品とは別に静音モデル『SI-1600L(S)ULTRA』『SI-1600C(S)ULTRA』もラインナップしております。
信濃機販が目指す未来と今後の挑戦
信濃機販が目指す未来と今後の挑戦
―― これからの展望、チャレンジしていきたい分野などがあれば、ぜひ教えて下さい
弊社は現在、自動車修理や補修用のエアーツールを中心に、トータル250点ほどのアイテムを製造・開発してきました。
そして、これから電気自動車が普及していくこともあり、ニーズに対応したエアーツールも皆様にお届けしていけたらと思っています。
また、製品の8割が自動車分野のエアーツールのため、産業用のエアーツールや電動工具はまだまだこれからです。
約70年に渡るエアーツールのノウハウを活かし、新分野へのチャレンジも引き続き続けていきたいと思います。
インターネットの発達により、当社のHPから直接ユーザーのご要望やご意見をいただける機会も増えてきました。どれだけ優れた商品を出しても、ユーザーからはさらなる改良を常に期待されます。
お客様に満足いただける独創的な製品を作り続けていけるよう、当社ではこれからも力を尽くしていく所存です。
インタビュー後記
インタビュー後記
信濃機販(SHINANO)は、日本におけるエアーツールのパイオニア的メーカーです。
また、歴史が長いというだけではない進化の変遷と、将来の展望をお聞かせいただいたことにより、今後の新商品発売がより楽しみになりました。
コンパクトでパワフルな工具を使いたいユーザーにとって、信濃機販のエアーツールは間違いなくオススメです。まだ未体験の方は、ぜひ一度手にとって、その使いやすさを体感いただければと思います。
取材協力先:信濃機販(SHINANO)
信濃製作所のエアーツールを日本国内に販売しているメーカー。常にユーザーのニーズに応えるべく、製品開発に力を入れており、自動車メンテナンスや自動車補修用エアーツールは特に高く評価されている。産業用エアーツールや電動工具にも力を入れている。
公式ホームページ:https://si-mark.co.jp/

取材協力先:信濃機販(SHINANO)
信濃製作所のエアーツールを日本国内に販売しているメーカー。常にユーザーのニーズに応えるべく、製品開発に力を入れており、自動車メンテナンスや自動車補修用エアーツールは特に高く評価されている。産業用エアーツールや電動工具にも力を入れている。
公式ホームページ:https://si-mark.co.jp/