これから夏の季節にアウトドアで活躍してくれる懐中電灯やヘッドライト。最近では省エネ節電効果の高いLEDを使ったライトが各メーカーから販売されています。
ライトや照明器具を購入する際、気になるポイントの一つが「明るさの度合い」でしょう。特にネットショップで購入する場合は、ライトの明るさを実際に目で見て確認できないため、判断材料は商品説明文だけです。
ライトの明るさを判断するためには、「明るさ」を示す専門用語の意味を正しく理解しておく必要があります。
光の明るさに関係する用語として代表的なのは、「ルーメン」「ルクス」「カンデラ」「ケルビン」の4つです。
「ルーメン?ルクス?カンデラ?ケルビン?、どれをどう見ればライトの明るさが分かるの?」
と混乱してしまう人も多い専門用語。
今回は、それぞれの意味を分かりやすく、具体的な商品の事例と合わせて解説します。
LEDライトの説明で多用される光の単位を知ろう
LEDライトをはじめ、ライトや照明器具の説明文に登場してくる専門用語「ルーメン」「ルクス」「カンデラ」「ケルビン」。 それぞれ光の明るさに関係した単位なのですが、それぞれの数値を見ただけでライトの明るさを即判断できる人は決して多くありません。 それぞれの単位が何を表しているのか、一つずつ確認していきましょう。
ルーメン(光束):光の総量
ルーメンは光束(こうそく)の単位であり、一言でいうと「光源の明るさ」を示す数値です。家庭用の電球のパッケージなどで見かける機会が多く、「lm」と表記されていることもあります。
光源の明るさを示すルーメンを見れば、LEDライトにせよ電球にせよ、バルブの部分から発せられている光の量がどのくらいあるのかを判断できます。ルーメン数が多いほど、光源部分の光のパワーが大きいというわけです。
ここで注意したいのが、たとえば同じ40Wの電球だったとしても、メーカーやランプの種類によってルーメン数は異なるということです。また、後で説明するケルビン(光の色温度)の数値によっても、ルーメンの値が変わります。
なぜこんなことが起きるのかというと、人間が感じられる「光の明るさ」は、光の量だけではなく、その色味にも大きく左右されるからです。私たちは通常、目に飛び込んできた光信号をもとに、その明るさを読み取っています。目の仕組み上、オレンジのような温かみのある光よりも白に近い光の方が「明るい」と感じます。そのため光の量が同じでも、ケルビン数(色温度)によってルーメン数(光源の明るさ)に差が出るわけです。
そのため、同じW数の電球を比較するのであれば、ルーメン数が高いランプのほうがより明るく感じられやすいことがわかります。
ただし、「ルーメン数が高い=ライトや照明が明るい」とは言い切れないのが、光の難しいところです。なぜかというと、私たちがライトや照明器具を使う場合、その空間の広さや光の広がり方によっても明るさの感じ方が異なるからです。
したがって、実際にライトや照明器具を使う場面で本当に明るいのかどうかは、ルーメンの数値だけでは判断できません。
ルクス(照度):1平方メートルの光量
光源部分の明るさを示す「ルーメン」に対し、1平方メートルあたりの光量を表す単位が「ルクス」(照度)です。「lx」とも表記されます。
ルクスの値を算出するためには、ルーメン数に加えて、さらにライトを設置する高さや床面積、光の広がり方なども含めて計算する必要があります。
「空間の明るさ」を知りたい場合は、ルクスの大きさが判断材料になるでしょう。
ただし、ルクスはあくまでも「空間全体の明るさ」を示す数値です。そのため、車のヘッドライトや懐中電灯のようにピンポイントで照射するライトの判断材料としては、優先度が低くなります。
カンデラ(光度):ピンポイントの明るさ
車のヘッドライトのように、ピンポイントの明るさが問われる器具の場合、その性能を示す値としてよく使われるのが「カンデラ」(光度)です。
カンデラを算出する際には、光源からの角度や距離が重要です。実際、カンデラの値が合格基準になっている車検のヘッドライト項目では、カットラインを基準に測光ポイントが定められています。
カットラインとは、光を「照らすエリア」と「照らさないエリア」の境界線のことです。
日本の車の場合、歩道側が先まで見通せて、かつ対向車がまぶしくないようにするために、左上がりのカットラインが採用されています。ちなみに、カットラインがくっきり出てない場合は、そもそも車検に通りません。
ケルビン(色温度):白っぽいか赤っぽいか
最後に紹介するケルビンは、色温度の単位です。「K」とも表記されます。ケルビンの数字は4桁で示し、その数が低いほどオレンジ色に近く、高いほど白に近くなります。目安として、代表的な3色の光の色温度を以下に示しました。
昼光色:太陽の光よりも青が強めで爽やかな色味。色温度は6500K程度。
昼白色:太陽光に近く、自然な光。色温度はおよそ5000K。
電球色:温かみのある穏やかな色。色温度は約3000K。
ルーメンのところでも少し触れましたが、色温度の違いによって明るさの感じ方が変わります。色温度によって空間の雰囲気や色の見え方などが変わるため、状況や用途に合わせて適切な色温度の光を選ぶ必要があります。
LEDライト選びに失敗しないための見極め方
専門用語の意味が理解できたところで、いよいよLEDライト選びに移っていきましょう。メーカーや商品によって明るさの表記は様々ですが、基本を押さえておけば、様々なライトや照明器具を選ぶ際に応用が利きます。
「ルーメン」「ルクス」「カンデラ」「ケルビン」、それぞれの数値を参考に、自分にとって最適なライトを選ぶためのポイントをまとめました。
用途ごとに必要な「明るさ」は異なる
ライトや照明器具を選ぶ際に、初心者が陥りがちな失敗の一つが「ルーメンやルクスなどの値がとにかく大きいものを選んでしまう」ということ。ルーメンやルクスの値が大きいライトであれば、より明るく感じやすいのは事実ですが、用途によってはそこまでの明るさを必要としないケースも多々あります。
たとえば、作業灯のようにスポットを照らすライトの場合、明るすぎると逆に作業の邪魔になってしまうこともあります。また、アウトドアで用いるヘッドライトなどであれば、明るさよりも長時間灯りを維持できるかどうかの方が重要視される場合もあるでしょう。
また、室内の照明器具であれば、あえて明るさを落とした方が空間のムード作りに効果的なケースもできます。たとえば、寝室などリラックスしたい空間で使うなら、ケルビン値が低い暖かな光の方が好まれます。
LEDライトを選ぶ際には、「何のために使うのか」「特に重視する項目は何か?(明るさ・消費電力・色味など)」を事前に検討しておきましょう。
ルーメンだけではなく配光性能を重視しよう
明るさを表す指標として最も一般的に使われているのは、光源の明るさを示すルーメンです。カンデラやルクスとは違い、使用する環境や機器に関係なく、バルブそのものの明るさを数値化すればよいため、明るさの目安として見せやすいのです。
とはいえ、ルーメンの数値だけでは「実際に体感できる光の明るさ」は推し量れません。どこにどれだけの光が当たるのか、配光性能を考慮する必要があるからです。極端な例を言うと、ルーメンの値が仮に5000あったとしても、路面には500も届いていないという可能性もありえます。
配光性能を考える際に、特に重要なのが光源の特性です。360度どの方向にもまんべんなく照射される電球と違い、LEDライトは指向性が強く、照射範囲が狭めです。
そのため、たとえばリフレクタータイプの車のヘッドライトに社外品のLEDバルブを装着すると、しばしば配光が狂い、カットラインが崩れたり、全く出なくなったりします。そうすると、ピンポイントの明るさであるカンデラの値も設計通りに出ませんし、車検にも通りません。
したがって、ライトや照明の明るさを判断する際には、ルーメンの値だけではなく、配光性能も事前に確認しておきましょう。
シチュエーションに合った色温度とは
光の量を表す「ルーメン」「カンデラ」「ルクス」とは異なり、色温度を表す「ケルビン」も必要な「明るさ」を選定するためには重要なポイントです。
たとえば、ケルビンが低めの電球色や昼白色の光は、夕方以降の時間帯に向いていると言われます。一方、朝から昼間の活動的な時間であれば、昼光色のようなケルビンが高めの光が適しています。
写真撮影などで使用するライトの場合、色温度が低いと服の色や化粧の色味が分かりにくくなります。逆に色温度が高すぎると、食品などは美味しそうに見えません。
このように、ライトを使用するシチュエーションによっては、光の量だけではなく適切な色温度も考慮しながら、適切な「明るさ」を判断する必要があります。
LEDライトの商品説明文を実際に見比べてみよう!
ここまでの基礎知識を押さえておけば、あとは実際に商品説明文を見ながら慣れていくだけです。
今回は、エヒメマシンが取り扱っている各種ライトのうち、「ヘッドライト」「懐中電灯」「作業灯」の3タイプ別に、それぞれ人気商品の説明文を比較してみたいと思います。
いずれの商品も明るさの表示は「ルーメン」ですが、これまでに解説したルクスやカンデラ、ケルビンの知識を持った状態で見ると、今までとは違った気づきが得られます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ヘッドライト編
メーカーイチオシのハイスペックモデル「GENTOS(ジェントス) GH-200RG」は、フォーカスコントロール付、照射距離283m、明るさ1200ルーメンのハイスペック充電式LEDヘッドライトです。
1000ルーメン以上になると、ライトが当たる部分は夜間でも「くもり空の昼間」くらいの明るさになります。ヘッドライトで1000ルーメンを超える機種は数少ないため、300m弱の距離で明るさを求めるならぴったりですね。
フォーカスコントロールがついているため、狙ったところに光が集中しやすく、配光性能も高いと判断できます。
仕様をよく見てみると、
■明るさ(約):500ルーメン(Highモード時)/ 250ルーメン(Midモード時)/ 50ルーメン(Ecoモード時)/ 1200ルーメン(Maxモード時)
と書かれています。モードを切り替えることで光量を使い分けられるので、様々なシチュエーションに対応出来るヘッドライトといえるでしょう。
もう一つ、釣りなどのアウトドアシーンで人気のヘッドライト「LEDLENSER(レッドレンザー)LEDライト H5 Core 502193 」も見てみましょう。
ヘッド部分を160度角度調整できるため、狙った場所に光をピンポイントで当てることができます。
仕様を見てみると
■明るさ3段階調整可能(ブースト/350ルーメン、パワー/200ルーメン、ロー/15ルーメン)
と書かれており、コンパクトなのに3段階で光量を変えられるのが強みです。
実際に350ルーメンと1200ルーメンの明るさを自分の目で比べてみたいという人向けに、2種類のライトを比較した海外の動画を紹介します。機種や環境が違うため「実際の明るさ」とは異なりますが、一つの参考にして頂ければと思います。
懐中電灯編
続いて懐中電灯を見てみましょう。KTCの新商品「充電式LEDハンドライト AL815H」は、コンパクトながら最大1000ルーメンの明るさを誇る懐中電灯です。
仕様を見ると、弱・中・強・ストロボの切り替えができるようになっており、1000ルーメン(強)の光量だと最大1.5時間連続で使用できると記載されています。
これだけだと分かりにくいのでもう1商品比較してみましょう。
防災用品としても人気の「アイリスオーヤマ 517106 手回し充電ラジオライト JTL-29」は、USB・ソーラー・手回しの3種類の方法で充電できるラジオライトです。
明るさは80ルーメンと、KTCの充電式LEDハンドライトと比べると、低い数値です。災害時の利用を考えると、光量を確保するよりも、いかに少ない充電量で光を照らすかに重きを置いた機種だといえます。
この2機種を見比べると、用途によって必要な「明るさ」が異なるというのがよく分かりますね。
作業灯(ワークライト)編
ご好評につき、完売いたしました。
作業灯も、用途によって必要な明るさが大きく異なります。「GENTOS(ジェントス)GANZ ガンツ LEDワークライト GZ-306 」は、3色調色&5段階調光が可能な作業灯です。
昼白色・暖色・白色と3パターンに切り替えできるので、作業時間に合わせて最適な色温度を選ぶことができます。
明るさは、最大1100ルーメン。充電の度合いにかかわらず、一定の明るさをキープできるので、防災用品としても使いやすい機種といえるでしょう。モバイルバッテリーとしても使えるので、1家に1台あると安心ですね。
同じ作業灯でも、「KTC 充電式LEDフロアライトS AL812S」はまた違った強みがある商品です。
弱・中・小の3パターンで光の量を調整でき、最大ルーメンが700lm。これだけ見ると、GENTOS(ジェントス)GANZ ガンツ LEDワークライトよりも暗く感じますが、この商品の場合は、ライト部を360度回転させることができ、30°ごとに角度を調整して固定できるというメリットがあります。
そのため、作業環境に応じて照射角度を細かく調整できるため、光源の明るさを逃さずに、狙ったスポットに当てることができるのです。
まとめ
エヒメマシンのLEDライト各種を見ても分かる通り、光の明るさを示す数値としては「ルーメン」が最もよく使われています。しかし、ルーメンの値だけで判断すると、予想していたほど明るくなかったり、用途に合わず使いづらいこともあります。
今回紹介した専門用語の知識やLEDライト選びのポイントを参考に、ぜひ最適なライトを検討してみてくださいね。