KTCのコードレスラチェットレンチで時代が変わるのではないか

本来、自動車整備士ならひとり1台は必ず持っている「ラチェットレンチ」。野球選手にとってのグローブのような、無くてはならない存在です。

それが充電式のコードレスになって誕生しました。


KTC JTRE310 9.5sq. コードレスラチェットレンチセット

 

本日はKTCから発売のコードレスラチェットレンチのご紹介です。

この登場により、今後の工場の風景ががらりと変わってしまうかもしれません。きょうはそんな電動工具の魅力について語らせてください。

以前から「電動」はあるにはあったが……

コードレスになって「誕生」と書いてしまっては語弊がありますね。以前からも似たような商品は流通していました。しかし、それらとは全く異なるのです。

ひとむかし前も電動のラチェットが無かったわけではありません。たしかにあるにはありました。しかし、当時は現場で満足のいくクオリティのものが市場には一切なかったのです。

ネックはバッテリーそのもの。バッテリー搭載型の工具は重くてかさばり扱いづらく、パワーもいまいち――というのが通説でした。

しかし、今回登場したKTCさんのコードレスラチェットは

  • トルク:34(最大/N・m)30(実用/N・m)
  • 無負荷回転数(rpm):190

という納得のスコアです。パワー面での不安はありません。ハイパワーでも重くてはどんな仕事もやってられない、という声が聞こえてきそうでうが、本機は非常にコンパクト。

 

KTC JTRE310 9.5sq. コードレスラチェットレンチセット

 

手のひらサイズで扱いやすく、重さも750g 。一日中握る工具として無理のない現実的な数字となっています。

とはいえ、やはり電動工具。バッテリーを内蔵する必要があるので、エアーに比べるとやっぱり大き過ぎるかも。筆者もそう思いましたが、冷静に考えてみるとそうでもない。

カプラと繋げたエアーツールとの長さを比較すると、ほぼ同等の全長なのです。よく見るとヘッドの部分も電動ラチェットの方が小さい。これはもしかすると、世の中からエアーツールが無くなる日が来てしまうのかもしれない。というのは過言でしょうか。

エアーツールの得意と不得意

もちろん、エアーツールの利点は「軽量」「コンパクト」意外にもある。耐久性、耐火性、そして高出力。

しかし、「設備に対する初期投資が必要」「ホースに行動を制限される」というデメリットも無視できません。いくら技術が進歩して、エアーツールが手のひらサイズになったとて、やはりエアーホースそれ自体をガレージから取っ払うことは出来ないでしょう。

最近は整備を依頼するお客さんのクルマに対する向き合い方も変わり、ホースがクルマに這うことはあまり良しとされなくなってきました。昔よりも「クルマ」の価値が上がっているからこその変化です。そうなるとエアーホースはさらに大変。「すぐそこにホースがあるけれど、迂回してエンジン部分まで持ってこないと」という場面も増えてきています。

家庭のガレージであっても状況はあまり変わりません。「コンプレッサーさえあればエアーツールを使える」という利点の裏側には「コンプレッサーがそばに無ければエアーツールは使えない」という弱点が存在します。

コードレスであれば言うまでもなくそうした心配はなく、場所の制限、空間の制限に手足を止められることはありません。

もちろんすぐにエアーツールの息の根が止まることはないでしょう。まだまだお世話になることになります。先述の通り、軽量・コンパクトで耐久性や耐火性に優れ、なおかつ高出力です。エアーツールの良いところは沢山たくさんありますから。

じゃあどうなるのか。

当分はエアーツールと電動ツール、両方を上手く使い分けるのが新しい現場のスタンダードになりそうです。

ちょっとした作業なら、すぐそこのツールボックスやポケットに忍ばせた電動でちゃちゃっとこなす。大がかりな作業はエアーツールで一気に。臨機応変に工具を持ち替えてサクサク作業をこなす流れがさらにさらに加速する予感です。

 

>KTCのコードレスラチェットを見る<

Diyコラムラチェットレンチ電動工具